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技術蓄積と技術伝承・標準化の方法を例(自動車シート)を用いて説明します。

QC検定
悩む人
悩む人
・会社からいままでの技術蓄積をして欲しいと言われたけど
技術蓄積って どうやったらいいのかわからない
・何か見本や例はない?

こういった疑問にお答えします。

やり方や見本がわからなければ
やみくもに調べてしまい時間を損にしてしまいます。

本記事では
・技術蓄積・伝承の必要性
・技術蓄積の方法(システム)
・技術蓄積の例
をお伝えします。

これを書いている私は、
製造業の設計をして20年程のキャリアで、
その中で得た経験を元に、
最適な方法で後輩に教えており、

伝承に関してはノウハウを持っていますので、それを無料でお伝えします。

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技術蓄積・伝承の必要性

どの仕事も一気にできるのではなく
積み上げによって出来上がってきます。

その仕事の積み上げを技術蓄積と言います。

仕事は一人で完成までもっていくことは多くはなく、
「人から人へ」伝承されて
完成されていきます。

もし、伝承をしなければ、
新しい人が前任者と同じ
イチからトライアンドエラーを繰り返してしまいます。
それは会社にとってロスとなります。

その為、きちんとした伝承が必要となってきます。

技術蓄積・伝承の方法(システム)

誰が仕事をしても、
常にベテランと同じレベルの仕事が出来るように
伝承のシステムの構築をしていく必要があります。

システムの構築方法

ベテランの仕事の仕方・方法、新事実などを、 ①内容
会社登録の所定の書類にして残し、      ②書類
常にこれを修正・追加し、          ③維持・向上
誰でも見ることが出来る、          ④オープンシステム
システムとしておく。           (機密保持 × 利便性)

①内容として
関連法規、関連規格、試験基準(合否判定基準)、設計基準、仕事の手順、ノウハウ集、

②書類として
会社に登録された公式書類(規定・基準など)とする。

③維持・向上として
制定・改訂・見直し・廃止が会社として日常的・継続的に行われるものとする。

④オープンシステム
社員誰もが必要なときに見れるシステムとする。
(利便性と機密保持の背反あり)

技術蓄積・伝承の具体的事例

技術蓄積・伝承の具体的事例をお伝えします。
自動車のシートのプロダクトを例にします。

品質試験の伝承

品質を保証する為の試験の伝承です。
耐久性などを確認するためのものですが、
これが、
十分すぎると 過剰品質
足りないと  市場でのクレーム発生
となります。

このサジ加減が会社の実力となります。

試験基準(合否判定値を含む)を伝承

商品ごとに、試験項目と試験条件・合否判定値を決めておく。
これに合格したら、市場で不具合を起こさない、ぎりぎりのもの。
不具合を起こさず、かつ 過剰品質でもない、ぎりぎりのラインが究極の目標。

試験項目を伝承

想定されるあらゆる不具合を試験できる「試験項目」をリストアップする。
例)商品の部位別、不具合現象別、作用荷重別、など

試験条件を伝承

各試験項目について、負荷する「試験条件」を決めておく。
(例)荷重の負荷点・大きさ・方向・回数、温度と保持時間、湿度、など

合否判定値を伝承

上記の試験条件で試験したら、市場で不具合を起こさない値 を決める。
通常、過去の市場実績と試験結果を突き合わせて決める。(データベースが重要)
同じ商品でも、用途・仕向け地などによって合否判定値は異なる場合がある。
(例)静的破壊:破壊時の負荷荷重の大きさ
疲労試験:負荷荷重の大きさと疲労破壊時の回数の組合せ
温度  :保持温度と保持時間の組合せ

以上の3つのうち、いずれが悪くても市場不具合を起こすから、3者を適切に決める。

そのためには、「漏れのない思考」と「市場情報」が最も重要です。

設計を伝承

物をきめていくのは設計です。
設計で原価の70%は決まってしまうので、
会社にとって設計は生命線です。

その設計の伝承方法です。

設計基準

上記の試験基準を全て満たすように
設計するための具体的な設計方法を
記述したものです。

ある1つの試験基準に対して
少なくとも1つの設計要件が出てくるはずです。

従って、ある部分に対して2つ以上の試験基準が該当すれば、
その部分は2つ以上の設計要件を満たすようにしなければいけません。

一度には出来ないから、
順次出来たものから設計基準に追加し、
より不具合の起こる可能性の少ない設計が出来るようにしていく。

これの繰返しで設計品質が上がっていきます。

仕事の手順

運営面での基準で、
いつの時点で何をしなければならないか、
を決めたものです。

いくら技術的に優れた製品開発をしても、
それが決められた販売開始に間に合う開発でなければ
意味がありません。

これを達成するための各仕事の
開始時期とタイムリミットが決められています。
これが守られていないと
警告が出るシステムは採用するべきでしょう。

具体的事例(自動車用シート)

具体的事例として
自動車のシートについて
お話していきます。

シートはパーツの集合体なので、
部位別・材料別・現象別・作用荷重別に
分けていきました。

商品の部位別

運転席シート:シートレッグ、シートスライド、シートクッション、
リクライナー、シートバック、ヘッドレスト、ランバーサポート、
クッションリフター、 クッションチルト機構、
後席シート :シートクッション、シートバック、ヘッドレスト、
折畳みシート:折畳み部(レッグ、ロック部、)シートクッション、
シートバック

構成材別

金属部材(鋼、マグネシウム合金)
ばね(コイルばね、Sばね、樹脂網、)
パッド(天然繊維、合成材料)
表皮(繊維、本革)

現象別

破壊:静的破壊、疲労破壊、
変形
劣化(強度、退色、物性、へたり、やつれ)
操作力・節度感・スムーズさ
乗り心地(振動吸収、酔い)
座り心地(腰痛、しびれ、痛い、疲れ、異物感)
乗降性
異音

作用荷重別

乗降中
乗車中:停止中:座席調整・仮眠・着替え、
走行中:操作(発進加速・制動・旋回)・場所(波状路・悪路、)
駐車中:温度・日射(劣化)

用途別

自家用、営業用(タクシー)、レンターカー、通勤・通学、レジャー、乗用、貨物、

仕向け地別

使用環境(道路事情、温度、湿度、)、人種(体格・体重)

まとめ

本記事では
・技術蓄積・伝承の必要性
・技術蓄積の方法(システム)
・技術蓄積の例
をお伝えしてきました。

具体的例としては自動車のシートの
方法をお伝えしました。

技術伝承は人に伝えていくので大変ですが、
会社の技術力向上の為には
必要なことです。

更に詳しく知りたい方は
この本をどうぞ。

組織を強くする 技術の伝え方

失敗学の第一人者の畑村洋太郎さんの本です。

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